山下雄彦のこんな本読んだよ。

たくさん読んだ本を、お薦めしたり感想を書いていくブログです。一般教養からサイエンス、自己啓発、人体の不思議と雑食的に本を紹介していきます。

経営幹部100の兵法  



著者 大橋武夫

”もっと早く出会いたかった本である”

<こんな人にお奨め>
・会社の経営者はもとより、起業家を志す人
・社会人における人間関係を見直したい人

<こんな本>
経営とは会社という組織を運用していくための「統率力」が肝である。
経営幹部が取り組む必要がある「統率」を中心にした諸問題を、古今東西実例や著者の経験をテキストにしたものである。
経営幹部の心構えとして、ロックウェル社長のウィラード・ロックウェル二世氏の「社長の十二の帽子」や文化人類学者の川喜田二郎氏の社長像を紹介している。

川喜田氏の社長像
「問題提起は芸術家のように、現状把握は科学者のように、本質追究は哲学者のように、構想・計画は政治家のように、手順化においては技術者のように」

会社を動かす情報活動として、情報は取引材料となる。情報を取り扱う時に先入観があると大事なものを見落とす。
情報が取引材料となれば、取引が有利に進めようと考えるは人の常。会社の首脳部から情報を引き出そうと目指してくる人物は、外見内容ともに一流の人物だと警戒しなくてはならない。
また、情報を盗まれる危険に対してでなく、情報を入手する側にたった場合の心構えも教えてくれている。

人の上に立つ者は、部下の誰よりも「責任観念」は劣ってはいけない。
責任観念と信念が失われた瞬間、幹部との価値は消失する。とくに、経営者の責任観念は会社の運命を決する。
ただし、これが自己満足になってはいけない。「俺がいなければ、会社は潰れる」という自信満々に語ることはよいことだが、他人がそうおもってなければ、「単なる邪魔でしかない」。
日々、自分を省みて「自分が会社を辞めた方が、会社はよくなるのではないか?」自問することが必要である。

指揮とは、計画をたて、これを実現するよう部下を指導することである。計画をたてるには、体勢を達観し、いろいろと考案を練り、あの手この手を使って、総合効果をあげることを考えることである。
計画は一見して内容が飲み込めないと意味が無い。細部を丁寧に読み終わって、内容が理解出来るような計画は実用にならない。

指揮の方法、「訓令」「命令」「号令」とある。発令者の意図が伴っているのが「訓令」「命令」であり、「号令」は発令者の意図が伴わない。
部下の人数が多くなり、仕事が忙しくなった時、部下が思うようにならないと腹を立てている幹部は、たいてい号令で人を動かそうとしている。

経営の戦略としては、中国や日本の戦国時代の事例を出して説明している。

<感想>
目から鱗が落ちました。
古典は人生のバイブルとよく言われますが、昭和四十年代に書かれた本とは思えないほど、21世紀の今の時代にも十分に活用できるものとなっています。
ドラッガーと同じように、この本が最近執筆されたのでは? と、勘違いしてしまいそうになります。
著書の大橋氏は戦中では陸軍中佐、参謀を経験、戦後では倒産した時計会社を再建したという経緯をもっています。
陸軍の参謀となれば、作戦が漏れれば部下が死ぬ。という立場にあったためか、情報漏洩に関しては他の本とは比較にならないほど丁寧かつ詳しくそして、量も割いて書かれています。

・社長の意図を探るには、社長の行動(車の追跡)を行えば見えてくる。
・新しい行動を起こすには、通信相手通信量が普段と異なる。
・他社の動向を探るために外部の組織を使用する時、欲しい情報をそのまま伝えると、その動向を相手に売られる。
・情報収集は中途半端が一番よくない。些細で価値のない情報でも対価を払うことに抵抗があると情報収集は失敗する。

などを、本当に懇切丁寧に具体例をあげて説明してくれています。

本著は古いですから、SNSについては書かれていませんが、SNSに絡めて考えると恐い発見があります。

例えばある経営幹部が海外の市場調査をプライベート旅行を兼ねて行ったとします。
これは、SNSで発信したとしたら足跡を追うのは簡単です。
そして、その足跡を別のデータと照らし合わせることで、市場調査を行っているのか下請け会社の開拓を行っているのか、それとも資材の調達先を調査しているのか。に、当たりをつけることができます。

最近の情報は、盗まれたことさえ気付かないことがあるため防衛することが本当に難しくなっています。
この辺は、コスト削減の旗印でクリティカルな部分である部署を外部に委託する経営者に本著を読ませたい。


話は変わりますが、著者は会社の経営の立て直しで相談を受けることが度々あったそうです、相談の内容を聞いて大半はこう思ったそうです。

「あなたが経営から手を引けば、会社は建て直しますよ」と。

会社経営者は常に勉強することが必要である。時代や会社の規模が変われば経営を代えなくてはならないが、経営者が勉強不足だとそれができない。故に経営者は誰よりも勉強を続けなければならない、そしてそれができない場合は、引退するべきだと。

この辺は、スポーツで顕著ですね。選手の入れ替えをしなくても監督を代えただけで、戦績が大きく向上することは珍しくないのですから。
そして、リストラ策による経営立て直しも全体的な目で見れば、失業者が増やす政策である。つまり、市場のパイを小さくする経営判断を行っていると、どれだけの経営者が気が付いて行っているのか?

【悲報】人間は成長やめた瞬間、陳腐になる運命からは逃れられない。
【朗報】勉強やめなければ、成長は止まらない。

特に、黒字で会社が成長している時は、一番危険な時である。部下は苦言を言いにくいし、銀行はお世辞を言ってくるようになる。
チェック機構を設けるには、お金があっても銀行から金を借りること。金を貸す時はどんな銀行でも真剣になって真実を言ってくれるから。
これは、銀行を顧客と見立てての事業を売り込むためのシミュレーションとして活用すれば、甘い見通しでの見切り発車は防げそうです。

最後に、電子書籍化されて初めて本著と出会えた自分が言えることではありませんが、もっと多くの人に読んで欲しいと切に願わないでいられない本と出会えました。

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Posted on 2015/05/24 Sun. 13:07 [edit]

category: ビジネス

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