fc2ブログ

山下雄彦のこんな本読んだよ。

たくさん読んだ本を、お薦めしたり感想を書いていくブログです。一般教養からサイエンス、自己啓発、人体の不思議と雑食的に本を紹介していきます。

みんなちがって、みんなダメ  



中田考著

 書店では今年コミック化して再ブレイクした「君たちはどう生きるか」と並べられているので目にとまった方もいるのではないしょうか。ハッキリいって表紙の少女は本の内容となんら関係ありませんので、ジャケット買いならぬ表紙買いはやめましょう。(笑)

 では、なんで表紙が少女なのかは、「君たちはどう生きるか」の主人公が少年で表紙がその少年だからです。表紙の対比させる意味だけで「現代風の少女」の絵を使用しているので、主人公の少女が「君たちはどう生きるか」を否定していくスタイルにはなっていませんので、注意願います。

 また、タイトルも昭和初期に活躍した詩人・鈴木みすゞ氏の誌の一節「みんなちがって、みんないい」のパロディになっていたりします。ここまで、徹底していますと「君たちはどう生きるか」をパロディでちゃかしているのかと疑う人もいるかもしれませんが、本の内容としては重いです。人にとっては、嫌悪感を覚える方もいるかもしれません。

 実はこの本は、『吉野源三郎氏の「君たちはどう生きるか」』は否定していません。というより「君たちはどう生きるか」については、ほとんど語っていません。ならば、いったい何を批判しているのか?
 「君たちはどう生きるか」がこの世に出た時代背景と全く異なる現代にコミック化した編集者とそれをありがたく思っている読者に対して批判しています。一言でいうと、「金儲け主義者に乗せられた、読者たち」という構図を批判しています。

 なぜ、中田氏はこのような批判をするのか? 

 みんなが大好きな言葉である、「平和」「自由」「平等」は民主主義の国民を巧に操るための言葉であると言い切っています。「平和」「自由」「平等」は理想ではあるが、決して現実に存在しないものであり、人によって完全に思い描いてるものは違います。その証拠に都合の悪いことに対してしか「平和を壊すな」「自由が無くなる」「差別をするな(平等にしろ)」と騒ぎますが、自分の関心から外れると騒ぎません。

 逆に全ての人が「平和「自由」「平等」を求めているのに、あえてこれらを唱えている者は、相手を攻撃するのに「平和」「自由」「平等」を利用してるだけの信用できない輩だと警告しています。
 話がそれましたが、「平和」「自由」「平等」は理想ではあっても、理想ゆえに全ての人に共通した定義にすることができないからです。これらと同じように言葉巧みに「個人個人は素晴らしい」と耳障りのよい言葉で、搾取する人間に対して批判をしています。

 中田氏のイスラームの研究者で、その目線から民主主義や資本主義の問題点を洗い出しています。この仕組みを知ると、民主化した国が民主化する前より国が荒れ、貧富の差が大きくなるのか理解できるようになると思います。




スポンサーサイト



Posted on 2018/11/04 Sun. 10:23 [edit]

category: 一般・教養

tb: 0   cm: 0

コメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://yamakatsuda.blog.fc2.com/tb.php/134-050f89be
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

最新記事

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード


▲Page top